三創楽器製作所

人を創る 物を創る 夢を創る これが三創楽器の理念です

浜松は「楽器の町 浜松」と言われる通り、100年以上も前から日本の楽器産業に大きな貢献をしてきました。
三創楽器製作所は、この浜松の地で40年間 古典楽器を作り続けるチェンバロマイスターを中心に
弦楽器製品を手加工で製作しているメーカーになります。

私たちが創っているのは単なる木工製品ではなく「楽器」です。
時代に媚びることなく静かに木材と向き合い続け、楽器作りの本質である「ものづくりの真摯な姿勢」が評価され、2014年には浜松市と静岡県から、2017年には厚生労働大臣から表彰を受けました。
チェンバロは海外の交響楽団で使用される本格的なタイプから、 家庭で楽しめるスピネットチェンバロまで幅広く手掛け、同じようにライアー(竪琴)も、小さなお子様の音遊び用からプロの演奏家用のコンサートライアーまで1台1台手作りで製作を行っています。 作品が完成してお客様に弾いていただき喜びの声を聞くことが、私たち作り手にとって何よりの喜びになります。 与えられた条件、与えられた材料の中で、いかに最良の楽器を製作できるか。
何十年経っても更に深みが増す楽器を後世に残していくことが 私たち製造メーカーの務めだと思っています。

木製楽器について私たちが伝えたいこと

木製楽器の特性と性格について 

デジタル楽器が普及している現代において「楽器は永遠だ」と思っている方たちが増えてきたように思います。

いいえ、デジタル楽器とは違い、木製楽器は永遠ではありません。
演奏が終われば、ケースにしまう前のお手入れは必要ですし、仮にまったく触らなくても楽器は劣化していくものです。
たとえばピアノの場合、長い間 弾かなければ音は狂うし、ひどくなると鍵盤も動かなくなってきます。
演奏家ならば月に1度は調律をし、もし弾いても弾かなくても1年から2年で調律を行うものです。
ギターやバイオリンも同じです。 木製楽器は使用していれば古くなっていきますし、していなくても経時変化は必ず発生します。
メンテナンスも何もしなければ狂うのは当たり前で、その状態を「まだ未使用なのに不良品だ」と言うのは違うと思うのです。

木製楽器の特性は、湿気や乾燥にとても敏感です。
暖かい日は膨らみ、寒い日は縮みます。それは木だけではなく金属にも弦にも同じ特性が見られます。
温度の低い朝の時間と太陽が昇り暖かくなった昼間の時間と弾き比べてみてください。
「音がカタイ、音が柔らかい」という変化に気付かれると思います。

このページでは、木製楽器の特性や性格を知り、メンテナンスの必要性を皆様にお伝えできたらと思います。

1. 楽器木材へのこだわり
2. 木材の節 (ふし) について
3. 木製楽器を育てるということ
4. 個人同士の中古品お取引きについて
5. 木製楽器の管理(湿度)について
6. 工場発送前検品について



1.楽器木材へのこだわり

数多くの楽器メーカーが集まる浜松市で、小さな工房だからこそ出来る「音色・品質」へのこだわり。 一般的な建築材は使用せず、製材、乾燥させた木材を仕入れたあと さらに工房で3年以上ねかせます。
時間をかけることによって木材は、無理のない状態で徐々に乾燥し、湿気を吸ったり吐いたり呼吸を繰り返しながら、ゆっくりと楽器用木材へと落ち着いていきます。 そうした材料は安定し、音質・音色、ともにより良い音が響く楽器が完成します。 当社のこだわりは、まず楽器材を育てることから始まるのです。



2.木材の節 (ふし) について

この節は 使いません。
 


こちらは材料の品質基準をクリアしているため 使用しています。




カラープリントの合板材ではなく 自然の素材を使用しているため
木には必ず節があり、小さな穴や木目もそれぞれの個体によって異なります。
同じものは他には無いという、天然素材の個性として受け止めて頂けたら幸いに存じます。

3.木製楽器を育てるということ

ご存じでしょうか。
木材はカットして表面に塗装をされたら、息が止まって死んでしまうわけではありません。
木は常に空気を吸ったり吐いたりを繰り返して、ずっと呼吸をしているのです。
だから、オーナーさんがどれだけメンテナンスを行いながら大事に扱ったか、 そこで楽器の成長に大きく差が出てきます。
新品の木製楽器を手に入れたら、そこから楽器を育てるのはオーナーさんです。
人間の子供と一緒で、何もしなくて楽器が育つわけではありません。
押し入れに大切にしまっていても、楽器は成長どころか、どんどん劣化をしていきます。
楽器を育てるということは、弾きこなすということであり、それは音を育てるということに繋がるのです。



4.個人同士の中古品お取引きについて

正式なお店や個人取引でも、対面方法で楽器を譲り受けるのでしたら問題はないと思いますが、
価格が安いからと 安易にネットでの契約を結ばれるのはご注意ください。
これはよくある話ですが、 中古品を安く手に入ったと喜んでも、実際、手元に来てみると、 すべてのパーツが劣化しており、楽器として使用できない状態だとしたら、これのオーバーホールに金額がかかってしまうことが多いのです。

「前のオーナーさんが昨日まで使用していて、それを今日、譲り受けた」 という状態ならば、特別な変化はないでしょう。
多少の打痕跡やキズがあったとしても、楽器としてはその方が安心して使えると思います。
逆にもし「しばらく演奏していない」とか「数回使用しただけで、そのあとずっと保管したままなので綺麗です」 と言われた場合、
確かにキズは無いため見た目は綺麗だと思いますが、木製楽器としては、とても残念な状態になっているはずです。

譲り受ける前に、必ず 「メンテナンスを最後いつやったのか」を確認してください。
もし行っていない場合は「メンテナンス料金をどちらが負担するのか」を 明確にやり取りをされることをお勧めします。
たとえば、1年以上メンテナンスも行わず放置されていたとしたら 永遠に変化なく使えるなんてことは、あり得ません。
中古を買う場合は多少のリスクが伴う事を承知して、お互い、気持ちの良いお取引きが出来ると良いですね。


5.木製楽器の管理(湿度)について

最初に記述したように、木製楽器は「木」で出来ている製品ですので湿度・温度に大きく影響を受ける楽器になります。 たとえば光の当たる窓際に置くのは危険ですし、演奏後に手汗を拭き取ることなくそのままケースに入れ、クローゼットに保管するという行為も、楽器劣化の第一原因になります。
楽器にとって理想的な湿度は40~50%と言われています。 湿度が30%を切ると、人間でいう「脱水症状」になり、乾燥による板割れの原因になります。 逆に50%を越しても錆やカビ発生の原因にもなります。
例えば、真冬のお部屋が23℃だったと仮定します。 レッスンに行く際、楽器を持ち出し、外気温が5℃だった場合、楽器にとって、急激な温度変化は過酷な状況です。真夏の場合も同じです。 常識の範囲で扱っていただければ、それほど神経質になることはありませんが、気温の変化は、徐々に、緩やかに慣れさせるのが一番の理想です。

【その他、やってはいけない注意点】
● 車内の置き忘れ
● 風や光の当たる窓際に長時間置く
● 冷暖房の効いた部屋で練習し、楽器に風が当たっている

楽器の保管場所には温度、湿度計を置き、特に乾燥の進む冬場は加湿も念頭に置いて、大切な楽器を長く保つためにもお部屋の環境を気にかけてあげてください。

6.工場発送前検品について

弊社では大正琴、ライアーなど、どの楽器も ご注文を頂きましたら 再度ケースから出し、調整・調律・確認を行ってから発送をさせていただいております。

    

ただ前述のとおり、木製楽器の特性上、新品の場合でも経時変化はゆっくりと進みますので、 その後も何か不具合があった場合は、たとえ保証期間を過ぎたとしても メーカーとして責任を持って対応をさせていただいております。

なにかお困りのこと、気になることがございましたら どうぞお気軽にご相談ください。